組織

ミッションステートメント

日本女性科学者の会は「女性科学者の友好を深め研究分野の知識の交換を図り、その地位向上を目指すとともに、女性と男性がともに個性と能力を発揮できる環境とネットワークの構築を推進することで、社会と世界の平和に貢献すること」を目的に活動しています。

会長挨拶

平塚らいてう「無限生成」に学ぶ2022年の決意
〜 SJWS 設立時の諸先輩方の想いを身心一体科学につないで〜

一般社団法人 日本女性科学者の会 第 10 代会長
跡見 順子

 「元始、女性は太陽であった。真正の人であった。今、女性は月である。他によって生き、他の光によって輝く、病人のような蒼白い顔の月である。」SJWSの前身である「日本婦人科学者の会」の設立(1958年)を応援した平塚らいてう(らいちょう)は、女性に選挙権がなかった時代、「青鞜(せいとう)」発刊号でこのように述べました。それから110年後、昨年9月のSJWS例会シンポジウム2021「女性科学者への期待。女性科学者はなぜ増えないか」において現状認識と課題を話し合い、その成果は提言「人生100年時代、女性も男性も十分に能力発揮できる研究環境の実現」発出につながりました。しかしながらいまだに日本の女性研究者比率、労働生産性、教育への公的支出、生涯教育参加、いずれもOECD加盟国において最下位です。新春シンポジウム2022「SustainableDream:細胞の戦略・人類のダイバーシティ」にご登壇いただいた吉森保先生には、私たち女性研究者への期待が極めて大きいと背中を押していただきました。
 現代科学で最も遅れているのは人間が人間を識ることです。人間が他の生命体と異なる点、それは自分を俯瞰し、科学し、科学 の力で未来に夢を持ち、人間システムを駆動させることができる点です。情報化時代であるからこそ、身体情報をより多く受け取る女性が、この変革の時代の舵を取るべきです。平塚らいちょうが書き遺した色紙のことばは、「無限生成」。「今後、女性の真の解放への道が、いかに曲折あろうともわたくしは永遠に失望しない」と語ります。自己創発的な生命をうちに感じて人間システムを全うしたこの感性は、細胞を駆動し続ける私が理解し実践する「身心一体科学」と重なります。創発的な生命を古来の日本文化特有の身体性につなぐ日本からの新しいジェンダード・イノベーションです
 昨年5月の会長就任時に掲げた5つの活動目標と進捗は以下の通りです。
  1. 「女性研究者のマネジメント能力の醸成・PI育成→「コンプライアンス意識を高める重要性」について工学出身の女性弁護士の方にご講演いただきました。国際共同研究や留学生・海外からの研究者の受け入れにはリスクマネジメントがとくに重要です。今後、コンプライアンスとあわせて勉強の機会を設けたいと思います。
  2. 女子中高生の理系進路選択支援→女子中高生夏の学校参加者からの要望をきっかけに、校友会制度を新たに設けました。12月の学術大会では高校生からの発表も受付けます。
  3. 「社会のための科学」研究の推進と学術誌による情報発信→女性ならではの視点で社会課題の解決に取り組む研究にスポットをあてていきたいと思います。J-stageでオンライン出版している学術誌では、準備が整い次第、論文を順次公開しています。
  4. 女性研究者活躍促進のための提言・要望活動 →2つの提言を発出しました。引き続き活動を行っていきます。また今後も女性が活躍できる分野として「いのちを護り育てる先進研究分野」の推進を行いたいと思います。
  5. 理事・会員相互の横軸の連帯を強化」→会長企画として会員とのオンライン交流を行いました。そこから「自ら学ぶ科学教育に関する勉強会」、「教育の平等の先を検討する勉強会」の2つの勉強会が立ち上がりました。前者はとくに2019-2020年度広報・渉外委員会の活動を受け継ぎ、生命現象を細胞レベルで自分のこととしてとらえ、身心一体科学に倣い身体の声に耳を傾ける力の養成を通した胆力のある女性リーダー育成を目指します。後者では社会進出が遅れている科学技術分野の男女格差是正に向けた政策提言を作成していきます。

加えて、

  • 課題だったホームページリニューアルが実現しました。積極的な情報発信と、次世代育成、世代を超えたコミュニケーションとネットワーク作り、女性ならではの研究分野創成を応援していきたいと思います。
  • SJWSの前身である日本婦人科学者の会から続いているニュースが131号を重ねています。現在は年2回発行です。SJWSの活動状況が集約されていますので、ご愛読ください。
  • 社会に開かれたSJWSの実現のために、オンラインで行っている主催事業を一般公開し、大臣・省庁からご挨拶やパネルディスカッションも行っています。
  • 国内ネットワーク活動として国際婦人年連絡会、男女共同参画学協会連絡会で会員・理事が活躍しています。
  • 国際的なネットワーク活動として、ICWES19国際女性技術者科学者会議に代表を送る予定です。会員の積極的な参加も望まれます。

抱負、

会員による勉強会が増え、互いに意見交換し、研究・教育イノベーションを巻き起こしていただくこと。そういった新しい活動から新しい委員会やワーキンググループがどんどん立ち上がり、国内外の科学者と連携して日本の変革に貢献し、近い将来、SJWSメンバーが社会のあらゆるところで活躍する姿を見られることを期待しています。

設立の経緯と活動内容

日本女性科学者の会は「女性科学者の友好を深め、各研究分野の知識交流を図り、女性科学者の地位向上を目指すとともに、世界の平和に貢献すること」を目的として1958年4月に「日本婦人科学者の会」の名称で設立されました。本会の設立に際しましては、当時女性国際民主連合副会長の平塚らいてう女史、ノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士を中心として設立された世界平和アピール七人委員会から多大なご支援を頂きました。1996年6月には名称を「日本女性科学者の会」と改め、2014年4月1日からは一般社団法人化し「一般社団法人 日本女性科学者の会」となりました。

本会は設立当初から半世紀以上にわたり、第一線で活躍する会員および非会員による講演会や、女性科学者・研究者を取り巻く諸問題に関するシンポジウムなどを開催し、幅広く活動してきました。1995年からは「日本女性科学者の会奨励賞・功労賞」を設け、女性科学者の活躍を推進する研究や支援活動を表彰しています。

本会の活動としては、国内での学術大会開催や学術誌刊行などの会員活動に加えて、1999年に第11回国際女性技術者科学者会議を主催するなど、設立当初からグローバルな女性研究者関連学術会議に積極的に参加してきました。2002年10月から男女共同参画学協会連絡会加盟団体、2004年には日本学術会議19期第4部登録学術団体として、特に、2003年から2005年には、国立女性教育会館の女性研究者ネットワーク支援のための懇談会に参加し、「女子中高校生夏の学校」(国立女性教育会館、男女共同参画学協会連絡会など主催)を2005年から共催し、更には、「国・地方連携会議ネットワークを活用した男女共同参画推進事業」を2013年以来内閣府と共催して、次世代の女性研究者育成にも取り組んでいいます。このような活動を通して、科学技術の分野において、女性と男性が共に個性と能力を発揮できる環境づくり・ネットワークづくりと社会貢献を目指しています。

会員は、理学、工学、医学、薬学、農学、家政学など幅広い研究分野で活躍する大学、研究機関などに所属する研究者および企業の研究者・技術者で、男性研究者・技術者も活動に参加しています。

事業

事業 概要
総会 年1回;5月(同日に奨励賞・功労賞贈呈式を開催)
学術誌 年1回発行
学術大会、例会 交互に隔年1回
ニュース (3月、9月、9月号は賞贈呈記念特別号)
賞贈呈 奨励賞、功労賞の贈呈(毎年若干名)
その他の活動 新春懇談会、講演会、シンポジウム、出版刊行物 等

ブロック

  1. 北海道ブロック(北海道)
  2. 東北ブロック(青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島)
  3. 関東圏ブロック(関東1都6県と山梨、長野、新潟、石川、富山)
  4. 東海ブロック(静岡、岐阜、愛知、三重)
  5. 関西・中四国ブロック(関西2府4県、四国4県、中国5県、福井)
  6. 九州ブロック(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄)

各ブロックの活動報告はこちら

主な活動

活動
1989 創立30年誌発行と懇談会 -今後の展望-
1993 For Tomorrow-世界の中の日本女性科学者・技術者(シンポジウム)
1994 科学技術を私たちの身近なものに
1995 科学技術系女性人材の育成について -アンケート調査、理科離れの中で
1996 第 1 回 奨励賞・功労賞贈呈式 及び 奨励賞受賞記念講演会(以後、毎年開催)
1996 親と子の理科実験教室 -考えよう地球環境
1997 サイエンスボランティア -女性たちの出前理科実験
1998 科学と女性 -科学の芽を育てる地域女性たち
1998 創立40年記念誌「この10年の歩み」(1989-1998) 発行
1999 第 11 回国際女性技術者科学者会議主催
2000 「日本女性科学者の会 学術年報」刊行
2001 パネルディスカッション 21世紀の科学教育への提言
2003 少子高齢化社会で活躍するための条件
2004 第 9 回 奨励賞・功労賞贈呈式及び奨励賞受賞記念講演会
2004 心の問題を科学する -ヒトはなぜ傷付くのか?傷付くとどうなるのか?
2005 科学・技術分野で女性研究者が活躍するための四つの条件 -男女共同参画の実現に向けて-
(文部科学省女性の社会参画支援促進事業:シンポジウム 和光市教育委員会・理化学研究所と主催)
2005 東西医療の融合をめざして(学術大会シンポジウム)
2005 新たな未来に向かって 科学技術と女性-最前線の群像と科学像(国立女性教育会館シンポジウム)
2006 社会のための科学-サイエンスコミュニケーション-(学術大会シンポジウム)

理事・監事

22改訂1_2021-委員会_理事の担当

定 款

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定款に基づく規則類

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個人情報保護方針

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